『伝統的な住まい再生で学んだこと、実践したこと』
〜熊本震を乗り越えて〜
クライアントさんのご好意により、NPO日本民家再生協会「民家の学校」で
先日、再生現場の事例紹介をさせていただきました。
個人のお宅ですので、写真配布は一切なしで画像の説明で行いました。
皆さんの記憶に残ってもらうしかありません。特殊解ではあります。
それでも、柿本が実際に目の当たりにした民家の凄さを
お伝えできたのではないかと思っています。
このブログでは、一般論として言えることを、
今期の民家の学校のテーマに沿って綴ります。
『民家を紡ぐ』=住み継がれるのに、必要な要素は?
予算?技術?人手?でしょうか。。。
柿本が考える3大要素は、
1)ヒト・・・住み手の残そうという意思、気持ち、
解体してみないとわからない部分もあります。
施主も設計も施工者も覚悟が必要です。
2)マチ・・・周辺環境、古民家の似合う風景、古民家がある風景
今回は、酒蔵で繁栄した地域でした。
自治体がギャラリーとして保存している伝統的建物があり
改修のイメージがしやすかったことも大きいです。
3)クラシ・・・現代の暮らしに沿った間取りや性能、もしくは身体を慣らしていく、、、。
住み継ぐ若い世代は、マンションで暮らしの生活をしていたかもしれない。
空調の環境に慣れてしまっているかもしれない。
そんな場合は、やはり躊躇するのが、暗さ、寒さ。
柿本も幼少期の体験で、非常にこの部分が苦手でした。
生活の場として、再生するのであれば
我慢しないで過ごせる環境に、
整えていくことも長く暮らすことには必要ではないかと考えます。
昨今流行りの古民家の民泊も経験もありますが、
断熱改修がしていないらしく、風邪をひきそうでした。
環境がよければ、身体を慣らしていくという方法も!?もちろんありますよ〜。
古民家の3大課題
1)寒い → 床下、壁、屋根下の断熱、ペアガラスの建具、熱源(冷暖房機)
2)暗い → 窓の配置、吹き抜け、トップライト
3)不便 → 段差解消、バリアフリーや手すり、キッチンやトイレお風呂などの改善
さらに昨今の
4)耐震性への不安 → 免震、制振、耐震要素を取り入れる
改修ポイント
1)軸組(構造部分は、基本的に当初の姿に戻す。先代の知恵と技の部分。
2)古き良きものは再利用する。もったいない精神。本物の無垢の木だから出来ること。
3)現代の暮らしに添わせる。古いからと諦めるない、我慢しない。(暮らし続けるために)
=伝統的な部分と、現代の良いとこ取り。ができれば最高===!!!
再生するにあたって
多くの協力者を得ることも、安心感、負担感を減らします。
1)大学の研究者、学生さん
2)先輩建築家の事例や見学会
3)施工の技、大工さん、監督さん、、、。
4)再生を行っている仲間
私自身が、本当に多くの先達に学び、教えを頂きました。
そして、現在、民家再生協会の技術部会で、
試行錯誤しながら再生している仲間にも恵まれて、
勇気をもらいながら、取り組んでいます。
民家再生の肝・・・『愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ。』(ビスマルク) でしょうか。
とても、マニアックな内容でした。
お読みいただきありがとうございます。
熊本で柿本が体験した生きた心地のしなかったあの夜から
今日で、2年が経ちました。まだ、まだ復興は半ばです。
修復中や新築中の現場もあります。
これからも、クライアントさんに寄り添った住まいづくりを通して
復興に貢献できれば幸いです。