先日の金物監理者検査の手直しも終わり、
瑕疵担保保険の検査も合格しました。
軸組が完成し、屋根も葺かれ、工事もいよいよ外部周りに入ります。
週末から、外部サッシの取り付け、外壁と工事が進んで参ります。
スギの野地板も現場に到着。
建主さんとの現場打合せでは、
屋根を葺き上がったので、雨樋の色を選定しました。
設計者判断で、筋交い金物の、新商品を事務所で初採用しています。
この黒い部分がそれです。
ダンパーの中では、比較的簡単に取り付けられる「制振ダンパー」です。
某金物メーカーが、熊本地震後に開発。
昨年の秋に案内をもらい、新商品が発売され、
タイミングの合う工事になれば、採用したいと、考えてきました。
今回の構造は、在来工法で
「耐震等級3」と、木造構造の最高グレード。
それでも、伝統工法を学び、伝統的建物の地震に耐える強さを知り、
木造住宅にも、地震対策には
耐震だけではなく、免震や制振構造が必要と考えています。
もちろん、予算内での対応ですので、
全箇所の金物をそれに置き換えるわけにはいきませんでした。
採用できる限り、外壁にバランスよく配置することで、
少しでも揺れを吸収することを目標としています。
木造平屋に、大げさな〜
と、思われる方がおられるかもしれません。
しかし、お客様が35年ローンを組まれること(長寿命の住宅を目指す)と、
今回、敷地が高台にあり、台風時の風圧も大きいと予想されることから
採用しました。
東日本大震災の後、木造在来工法で、制振ダンパーを採用した建主様から
入居後、「強風でも揺れないのは、制振ダンパーのおかげかもしれない」
(そちらも、角地の高台にあり、風当たりが強い)
と、「お隣が、強風で眠れなかった夜も、
自分は揺れを感じず、ぐっすり眠れた」と喜ばれていたエピソードから、
風の振動にも有効だと考えるからです。
強いだけではなく、しなる柔らかさも加えたい。
そんな、設計の思いが、ダンパー採用となっています。
構造の安定を考える基準としては、品確法では、
4つの等級があります。
1)
耐震等級(倒壊等防止)
2)
耐震等級(損傷防止)
3)
耐風等級
4)
耐雪等級
3)の耐風等級では、極めて稀に発生する台風は
1991年の台風19号が基準となっています。
上陸した熊本では、この時の被害被害は甚大で、
建主、施工者、設計者全員が経験していました。
どれだけ大変だったかの体験談で、
現場では話が尽きませんでした。
自然の脅威から完全に逃れることはできません。
それでも、災害被害を最小限に食い止めたい。
そんな、思いが共通認識として、三者に出来ていることを
嬉しく思いました。
これからも、見えないところもしっかりと施工できるよう
監督さん方と連携して、ものづくりに励みます。