早いもので、一年点検の日を迎えました。
先日の震度5強の関東での地震で
移動を心配してくださっていました。
熊本地震を思い出す夜でしたが
ご加護に感謝しつつ、無事に移動できました。
温かく迎えてくださった
ご家族に感謝です。
床下に外壁周り、設備の不具合、
建具の開け閉めなどなど
諸々を確認させていただきました。
床下問題なし!
外壁の板の反りは出ておらず、ほっ
建主様から報告があった2箇所。
2階バルコニーの手摺木部の浮き
1階和室の引手の破損でした。
擦れた原因
木製手摺の浮き
いずれも、木の持つ性質、反りや収縮に寄るものでした。
その他にも、上枠が擦れたり
木の特性に理解を示してくださっている建主様であることと
工務店さんであることが、大前提の木の住まい。
一年点検を契約時に含むのも、
こうして、何かしら出てくるからです。
瑕疵の部分である雨漏れや
大きな不具合などは、もちろんありません。
工務店さんと情報を共有し
手直しをしてもらいます。
住み心地を伺うと、
夏もエアコンをほとんど入れなかったとか、
え〜、今年は猛暑でしたが。
風通しで随分涼しいそうです。
軒を深くしたことも効いているのでしょう。
「便利になった〜。
トイレが近いのは本当に良かった。」
と奥様。
今回トイレは、寝室の横に設置しています。
「前の家(地震に遭う前の大きな邸宅)よか
狭かばってん、使い勝手は良か」とご主人。
リビングの吹き抜け、外が一望できる大きな窓
そして、小さいながらも趣味のコーナーなどなど
ささやかな工夫が効いているようです。
趣味コーナーでは、
「夫が、自分の身の回りの片付けを
するようになった」と嬉しそうな奥様。
「かえって広いより散らからない。散らかせない。」と
笑いながら娘さんも。
短い時間でしたが、奥様の動きを拝見していると
対面キッチンから、お商売をしているお庭方面が見通せるので
洗い物をしながら、「あら、お客様」といって、外に出られました。
玄関では、ちょっとした段差の手摺をしっかりと掴み
降りておられました。
ご主人も、仕事に出られるときには
玄関から。
竣工時の写真、手摺はこちら
当初は「きっと両親は、南側の窓から出入りする」と、
これまでの生活から、おっしゃっていた娘さん。
大きな式台も設置しました。私もそう思っていたのです。
今、その式台は、孫ちゃんたちの
外食事用のベンチになっているのだとか。
テーブルも置いてありました。(トップの写真参照)
想定と違う使い方に、微笑ましく思うと同時に、
ある気づきが私にはありました。
そう、南窓には出入りの際の手すりがない!
もしかしたら、無意識ですが、この段差部分を
安心感のある玄関を使われているのではないかと。
田舎では昔は、良く言いました。
玄関からの出入りは知らない人用。
知っている人は、縁側から挨拶する。
実際に、前の家でも、そんな感じだったご様子だったのに。。。
この変化は、明らかに、年齢的なものと思われます。
娘さんとも、住まいをコンパクトにするため
玄関は、南側のリビングアクセにするかどうか
設計の際に検討しました。
宅配便や営業訪問など、知らない人が訪ねてくるので
小さくても別に玄関は、作っておこうという話になり、、、、。
引き戸と飾り棚付き下足入れ、
手摺のある玄関となりました。
季節感のあるものを、ステキに飾っていらっしゃいます。
杉板の木目によく合います。
玄関の手摺。。。。やはりこれは大事ですねぇ。
お元気な方のお宅でも、手掛けになることろは
なるべく想定した設計をしますが
このように、はっきりと、
前は出入りできていたところが、
そうではなくなるという例を、
目の当たりにして。考えさせられました。
高齢者の家ほど、その体調変化は著しく
対応できる住まいでないとならないと。
設計監理時には、できるだけのアンテナを張り
その時に知恵を最大限生かす心づもりで取り組んでいます。
このように、訪問させてもらうことで
暮らしを実感し、また新たに設計に生かせると
感謝の気持ちでいっぱいになりました。
ありがとうございました!!